act.5

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 ***** 「……荷造りは進んでる?」 「一応」 「…………本当に、お隣りに知らせなくて良いの?」 「…………うん」  心配そうな声に、静かにキッパリと頷けば、そう、と溜息混じりに呟いた母親が、そっと口を開いた。 「……ホントに……ごめんね?」 「……いーよ。…………それより。夏休みの終わりに……明と旅行行くから」 「ぇ……?」 「……出発までには戻るから」 「でも……」 「……このくらいの我が侭は、聞いてよ……」 「……」 「……ゴメン」  すまなそうな顔で口を噤む母親に小さく呟いて立ち上がる。 「…………お金は……」 「……何?」 「足りるの?」 「……平気」 「そう……」  ありがと、と笑い返してから自分の部屋へ。  明が突然来ても大丈夫なように、まとめた荷物は押入に入れてある。パッと見では、荷造りをしているとはバレないだろう。  どさり、とベットに倒れ込んで、枕に顔を埋める。  明に対しての後ろめたさは確かにあるけれど、残り少なくなってきた日にちを、2人で指折り数えて気まずくなるなんて、淋しいことはしたくなくて。  どうしても最後まで、いつもと同じように笑う明を見ていたくて。  自分の我が侭に小さく嗤ってから唇を噛んだ。 「…………あきら……」  *****
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