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今まで一緒に過ごした時間の中で、たぶん、一番君に近かった夏。
このまま時が止まってしまえばいい。
そしたらオレは、いつまでも君の傍にいることが出来るのに。
どれだけ願っても、太陽は昇ったし、月も出た。
*****
「……もう夏休みも終わりかぁ……」
「……」
「……ゆーと、聞いてんの?」
「へ? ごめん、何?」
「……夏休みも終わりだって言ったの」
「あぁ、……そだね。もう後一週間だしね」
「あっという間だったなぁ……」
つぶやいて、ばったりと仰向けに倒れるのを笑う。
「宿題。しなくていーの?」
「……なんだよぉ。一人だけイイ子ぶんなよぉ」
「そうじゃなきゃ一生終わんないでしょ。……ほとんど終わってないんだもん、明」
「……。……ここんとこ歌いにも行けてないしー」
「我が侭言わない。明が行ってないってことはオレだって行ってないんだから」
「……」
むっつり黙り込むのに小さく笑う。
「もう、ほら。ちゃんと手伝ってあげてるんだから、しゃんとしなさい」
ペンペン頭を叩いてやれば、ブツブツ文句を言いながらも起きあがって、問題集に取りかかる。
「……めんどくさー」
「みんなやってんの」
「……宿題終わるまでが夏休みならいーのに」
「……無茶苦茶言わないの」
苦笑しながら、胸の奥が暴れ出すのが分かる。
宿題が終わるまで夏休みならどんなにいいだろう。それなら一生、終わらせないのに。
「……旅行行ってまで問題集やりたくないでしょ」
てきぱきやるよ。
笑ってみせれば、明は大袈裟に溜息を吐いた。
「……国語じゃなくて沢井語なら自信あるんだけどな」
「…………それ、明以外分かる人ほとんどいないから」
「……」
国語の問題集を前に真面目な顔して呟くのに苦笑した。
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