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「おわっ……たぁ……」
ばたん、と大袈裟に後ろに倒れる明に、よく出来ました、と笑う。
「何笑ってんの?」
「いや、別に?」
「……なんかムカつくなー」
「ま、いーじゃん。終わったんだからさ」
「ん。これで旅行も心おきなく行けるし」
「……だなー」
一瞬だけ跳ねた胸の奥を、宥めるように笑って見せながら、もうお馴染みになった自己嫌悪を頭の隅に追いやる。
「でも、凄くない? 5日で出来た」
「……オレも手伝って、でしょ」
「…………勝手に手伝ったんじゃん」
「……そう言うこというのは……この口かー」
「いだだだだ」
こんにゃろ、と笑いながら口の端を掴んで、びろーんと引っ張る。
いたいいたい、と笑う顔に、感謝してるの? と聞けば、してるしてる、と笑われて。
手を放してから、ぽんぽん、と頭を撫でてやる。
「ま、なんにしても、よく頑張りました」
「ん。オレ頑張った。やれば出来る子だからね」
「自分で言うなって」
ふはっ、と笑い合ってから。
時計に目をやったのは、たぶん同時。
「…………じゃ、行きますか?」
「……行っちゃいますか?」
堪えきれないワクワクを顔に浮かべる明に、ズキズキ痛い胸を隠して笑い返す。「夏休み最後のスペシャルライブって感じだよね、言うならね」
「そゆこと」
ギター片手に家を飛び出す。
夏の暑さの名残さえ、今は愉しくて。
笑いっぱなしの胸の奥は、悲鳴を上げ続けていた。
もっともっと、君と一緒に。
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