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「……明……」
「ん?」
「好きだよ」
「……どしたの?」
「好き」
「……ゆーと?」
喘ぐみたいに呟いてから、泣きそうになって焦った。
この距離でさえもどかしいのに。
もうすぐ、顔も見られないほどに、遠く離れることになるんだ。
「好きだよ」
「…………ゆうと……」
「……好き」
「…………」
戸惑ったような表情の君から目を逸らして、好きを繰り返していれば
「……」
小さく小さく。
風に乗って聞き慣れたメロディーが届いてくる。
「あきら……?」
ゆっくり顔を上げた呼んだ名前に、君が優しく微笑ってくれた。
二人で作り上げた曲を、穏やかで優しい、子守歌みたいなアレンジにして歌う君を。
やっぱり、心の底から。
何よりも、誰よりも好きだと──愛しいと思った。
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