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残された。
たった一人。
誰もいない部屋。
乱れたベッド。
痛い体。
愛し合った証。
──なのに。
愛し合った君は、いない。
大好き。なんて。そんな言葉で縛り付けて行くつもりだったの?
ずっと好きだなんて。誰が保障してくれるの?
ねぇ。分かってる?
オレは、何一つ。お前の口から聞いてないんだよ?
たとえば、そう。
どうしてオレに、一言も言わなかったのか、とか。いつかまた帰ってくるのか、とか。どこへ行くのか、とか。
そういう大事なこと、全然聞いてない。
言うだけ無駄だと思った? 言ってもしょうがないと思った?
だけどオレは。
お前のそのやり方に、傷ついたんだよ。
お前はオレを、大事だって。大切だって言ってたけど。
本当に。そう思うなら、言ってけよ。
オレ、怒ったから。
傷ついたから。悔しかったから。悲しかったから。淋しかったから。
全部、失くしたと、思ったから。
お前のことなんて──
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