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長い長い時間だった。
傍に温もりを感じられないその時間は、永遠とも思えた。
離れてもこうして、笑っていられることが不思議で、息をしていられることも、不思議だった。
だけど、きっと今こうしているのは、いつか君に逢うためだと思った。
いつかまた君に逢おうと思ったら、こうして、息をして、密かに生きていなければ。
君の温もりを思い出しながら、ゆっくりと笑いながら。
そうして、生きていなければ、君にまた逢うことさえ不可能なのだと。
言い聞かせるように3年間。
忙しさと寂しさの中で何度も何度も喘ぎながら。
それでも精一杯、生きていた。
君とまた、笑い合えるように。
君とまた、時間を共に出来るように。
君との時間を、支えに、耐えてきた。
これが、もしかすると、あの時の罪の罰なのかもしれないと。
思ったらよけい、苦しくなった。
あの時のオレの手ひどい裏切りが、君をそこまで傷つけたのだとしたら。
辛くて辛くて、泣きそうだった。
だけど、君は。
残酷なまでに。あの時と変わらない笑みを、その唇に浮かべるんだね。
「………………あぁ、久しぶり?」
そんな言葉が聞きたくて、わざわざ帰ってきたんじゃないよ?
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