act.1

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 いつからだろう。自分達がこうして、2人でひとつの曲を作るようになったのは。  その少し前から、2人で駅前に歌いに行ったりしていた。2人で何度も同じ曲を繰り返し練習して、駅前に行っていたのだ。  その内に他人の曲じゃ物足りなくなって、試しに作ってみたらこれが楽しくて。  2人でやり始めると、もっと楽しくなって。  元々仲の良かった幼馴染みだったけれど、その時からきっと、絆はもっと強くなった。  けれど、良いことばかりじゃなかった。  明と一緒の時間は、嬉しくて、同時に辛くて苦しかった。  明が好き。  そう気付いたのはいつだっただろう。  男同士で、大切な幼馴染みで。  想いに気付いたとき、同時に恐怖さえ覚えた。  この想いが知られたら、もう二度と傍にいて笑い合えなくなる。  隠すのに必死だった。  それでも何も知らない明は、前と同じようにじゃれついてくる。  距離を置きたいと思ったことさえあったけれど、どうしても離れられなかった。 「……あぁ……これがいいんじゃない?」  ぴっ、と問題用紙を飛ばせば、ひょい、と受け取った明が嬉しそうに笑う。 「そう言うと思った」  満面の笑み。  痛くて痛くて。  でも嬉しくて──大好き。  たとえ想いを伝えられなくても、傍にいられたらそれでいいと、自分に言い聞かせていたというのに。  そんな儚い願いすら無視されるようだと、悔しさに唇を噛みながら。 「ルーズリーフ1枚ちょーだい、書き写しとく。明日テスト返ってくるから問題いるし」  楽しそうに言う明に、勝手にとっていいよ、と笑い返す。  全てが欲しいと、望んだワケじゃない。  そんな我が侭を言った覚えはない。  なのに、全て奪われるの?  運命には、逆らうことさえ許されない?  自分の無力さに、腹が立った。
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