act.10

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「………………あれ?」  ふと。  後ろの方で声がしたけれど。気にせず歩き出そうとした行く手を、二人組に遮られる。 「藤崎?」 「は?」  何だよ、と思って睨み付けようとする前に、そんな声。  キョトンと見上げた先で、なんとなく懐かしい顔。 「………………健と……ヒロ?」  呟けば、二人は。  本当に嬉しそうな笑みを顔に浮かべた。 「藤崎やんかっ、何してんのんこんなとこで!!」 「いや、帰ってきた」 「マジでぇっ!? うわぁ、ビックリしたなぁ」 「ホンマやで。おっとこ前なったなぁ」  なんだよそれ、なんて笑い返す。  以前と変わらない彼らが嬉しくて、凝り固まっていたらしい心が解れていくのが解る。 「帰ってきたってことは……大学はこっち受けたとか、就職でこっち来たとか?」 「うん、大学。さっき合格発表みてきたんだよ」 「おっ、マジで。おめでとうさん」  うん、ありがと、と笑ってから。  ふと、思いついて聞いてみる。 「明、元気?」 「……そうや! 自分なんでやねん」 「は? 何、急に」 「転校するて、なんでさっきに言わへんかったん。めっちゃビックリしたんやで」  オレの質問には答えないのかよ、なんて苦笑しながら、たった一言聞いただけで暴れ出した心臓に、落ち着けと言い聞かせる。
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