act.11

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「…………ふざけんな……」  低い声が聞こえた。  ギクリとして見つめた先で、俯いた明が肩を震わせていた。 「あきら……?」  呟いた名前に。  顔を上げた明の。  頬を伝うのは、綺麗な綺麗な涙。 「あき、ら……」 「何しに帰ってきたんだよっ」  睨み付けてくる瞳の、弱々しさにずくりと胸の奥の方が痛む。 「あきら……」 「オレのこと放ったらかして、勝手にどっか行って! ……帰ってきた? どういうつもりだよっ」  喚いて、掴みかかってきた明の手は。  弱々しくシャツを掴んだ。 「……どういう、つもり……ッ」  胸に、こてん、と。  頭突きするみたいに凭れてくる頭。 「……明……?」  癖で髪を梳けば、ぎくり、と肩が揺れた。 「……優しくすんなよ」 「あきら……」 「どうせ、また……オレのこと放ってどっか行くんだろ……」 「行かない」 「行くよっ。……結人は、……オレのこと、置いてった」  強い声が遮って、頭が離れていく。  覗き込むように睨み付けてくる瞳には、力はなかった。 「……あきら」  何かを言おうとして、だけど言葉を見つけられずに。  ただ、3年経っても華奢なままの体を抱き締めた。 「やめっ」 「オレは! もう、絶対どこにも行かない。……明のこと、独りにしたりしない。……ずっと、傍にいるよ」
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