act.12

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 僕らはきっと、この日を忘れないだろうと思った。  この先に、また、何が起ころうとも。  きっと、このキスの味を覚えていれば、何だって出来ると思った。  いつも何か足りなかった毎日は、今日で終わり。  隣を見ると、アイツが笑い返してくれる。  だから、オレも笑い返せる。  作った笑いじゃない、心からの、笑顔。  あぁ、どうしてだろう。こんなにも満たされてく。  離れて解る、だなんて嘘。  離れて、また出逢うからこそ、気付くんだ。  こんなにも安らぐこと。  こんなにも幸せなこと。  こんなにも優しいこと。  ──これほどまでに愛しいこと。  守りたくて、ずっと感じていたくて、手放したりしないと心の中で密かに誓う。  アイツもきっと、同じようなこと思ってるだろうなと思うだけで嬉しくなる。  だから、呼ぶんだ。  3年間、呼ぶことの出来なかった名前を。  そうした後で、静かに微笑い合うんだ。 「大好きだよ」  幼い頃から何度も繰り返したのと同じ言葉を、あの頃よりも想いを込めて。
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