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「そういうわけで、首都に向かおうと思いますがよろしいでしょうか?」
魔王にグレイスが行き先がそこでいいか確認した。
彼が否と言えば検討し直しになる。
「構わん。お前が道案内するのか?」
椅子に足を組んで座るルークに視線をやった魔王に、茶色の髪をした頭が頷く様を見せた。
「まぁそんなところだな。っても基本的には街道を辿れば着くから一本道だよ」
魔王はじっとルークを見つめていた。
ルークは彼の蒼い瞳に苦手意識を持っていた。
魔王の瞳には人間の温かみのようなものが一切感じられない。
かと言って獣のような目とも違う。
何か得体の知れない恐怖を感じるのだ。
「なんだよ、人の顔じろじろ見て。感じ悪いぞ?」
恐る恐るといったようにルークは魔王に止めるよう促した。
魔王は無視してルークを睨むように凝視しながら言った。
「私達を手助けする理由はなんだ?お前はなんの目的がある」
「なに言ってんだよ。別に助ける理由なんかないぞ?
困ってるやつに手を差し伸べるのは悪いことじゃないだろ」
ルークは困った表情で魔王に答えた。
魔王はルークが本心で言っているのか半信半疑だった。
「理由もなく他人を助ける人間など私は見たことがない。どの人間も必ず腹に何かあるものだ」
「うーんあんた、人間不信なんだな。まぁ分からないでもないけど、俺は別にあんたらを利用しようとかそんな理由で助けたわけじゃないぞ?通りすがりでたまたま助けただけとしか言えないぜ」
ルークは助けたのに逆に疑われてしまい気分は余りよくなかった。
人間を信じていない魔王がルークの言葉を信用するのは無理な話だった。
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