【二章】誘惑の瞳

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1  プレトの首都、プロートンは首都らしい賑わいをみせていた。  海からは海産物や外国からの交易品が入り、陸路からも周りの国々から集まる品々が盛んに取り引きされていた。  毎日大きな市場が開かれて自国での特産品、野菜や果物、肉、それ以外の物もあり何でも置いてあるのではないかと思えるほどだ。  プレトはとある大陸に三国ある国の中でも、国土も小さい国だが自国から輸出する品々でそれなりに経済力がある国である。 「やーっと着いたな!」 「……乗り心地が最悪だ」  魔王は青ざめており見るからに気分が悪そうだ。  ここまで三日間、ずっと馬車の荷台に揺られていた。  町を出て運良くプロートンに行く荷馬車を見つけ、荷物と一緒に揺られてここまでやってきた。 「あなたの短剣、無くしてしまってすいませんでした」  グレイスがルークに謝った。 「いいって、気にすんな!剣はまた替えが聞くけど、命は換えが聞かないだろ?」  道中、運悪く三人を乗せた荷馬車が巨大な熊に襲われた。  鎧熊と呼ばれる固い外郭に身を包んだ熊で、外郭はちょっとやそっとでは傷付かないという猛獣だった。 「死んだかと思ったけどグレイスが隙を作ってくれて何とか逃げ切れたから良かったぜ」
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