【三章】さまよう巨影

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「ここはどこだ?」  窓から差し込む光が部屋を照らしていたがやや薄暗い。 周りを見回すと魔王が寝ていた簡素なベッドがあと二台ほど向かいに並んでいた。 部屋が狭いのでベッドとの間がほぼない。 「ここは『教会』です」 「教会だと?」  教会と言えば人間が神に祈りを捧げる場所だ。 魔王には似つかわしくない場所だが、何故そんな場所に自分がいるのか魔王には全く状況が理解出来なかった。  グレイスに視線をやり、眉を潜めていた。すると魔王が起きたら話すつもりでいたのか、言われなくてもグレイスから今の状況を説明し始めた。 「魔王様があの邸宅で気絶し、あの街の宿屋で再び目覚めたのは覚えておられますか?」  魔王は黙ったまま頷いた。グレイスはそれを見て話を続ける。 「あの後私達に追っ手がかかったのでルークと共に街から魔王様を連れて抜け出しました。 それから追っ手を振り払う為に夜の雑木林に入り込み、野営をするつもりで場所を探していました。 歩いていると開けた場所に出て目の前には木造の建物が現れたんです」 「それがここか」 「そうです。そして建物に近付いたらシスターに見つかってしまったんですが、丁寧に話をしたら私達を休ませくれました」  グレイスが何やら爽やかに笑うので魔王はそれをいぶかしんで目を細めた。 「……神に仕える人間に手を出したのか?」
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