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取り敢えず、気合いを入れよう。
「もうこれ以上はイケメンに過剰反応しない!」
登校2日目、まだ違和感の有る制服に着替えて、声に出し一人宣言をする。
一人…だった筈…
「何言ってんの?お前…」
若干引き気味な声がして、見ると弟が私の部屋にいつの間にか入って来ていた。
哀れむ視線を私に送る。
ちょっ…
「おまっ何勝手に入って来てんだよっ!?」
「兄貴最近独り言多過ぎて五月蝿ぇ」
「えっ…」
「まだ熱でも有るんじゃね?
イケメン云々とか、気持ち悪ぃ事ほざいてっし…
学校よりも一回病院行ってくれば?」
呆れた様にそんな事を言う弟の優(マサル)もまた、私のとはデザインの違う真新しい学生服に身を包んでいる。
本来であれば、弟は26歳の会社員。
年下の可愛い彼女が居て、友達も多く仕事も順調な、私より遥かにリア充ライフを送っていたのに…
姉ちゃんが浅はかな返事をしたばっかりに…
あんたまで巻き込んで、例え2年間でも、一緒に人生のやり直しをさせる事になってゴメンね…
こうなってしまってから、弟の顔を見る度にそう思う。
自分の意思とは関係無く、26歳から突然15歳になってしまった弟は今、近所の公立高校に新入生として通っている。勿論共学の。
はぁ…
変わるのは、なんで私だけじゃ駄目だったんだ…?メタボ…
『カスの設定上必要なんだ』
や…要らんだろ?
なんなら私、弟の弟で良かったよ?
こうなっちゃったらもう、2年間は仕方ないと思わざるを得ないのかも知れないけど…
朝っぱらから弟と顔を合わせて気が滅入った。
つい、無い物ねだりしちゃったけど…
2回目の学校に足を踏み入れて正気に戻る。
凹んでる場合じゃない。
今日からは、昨日ウッカリ作り掛けてしまったハーレム状態を奪回させなきゃ!
自分の教室手前で一度深呼吸して、再度気合いを入れ直し
教室に入って真っ先に目に付いたのは
丸山、千葉、黒木の他、何故か会長、副会長、風紀委員長が揃い踏み
主の居ない机を囲んで、イケメン6人が気難しい表情を見せている
そんな光景だった。
て言うか、そこ私の席…
「あ、来た!まこちゃん!」
直ぐに私に気付いて会長…雄一先輩が此方に声を掛ける。
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