出会い

22/45
5307人が本棚に入れています
本棚に追加
/810ページ
取り敢えず、気合いを入れよう。 「もうこれ以上はイケメンに過剰反応しない!」 登校2日目、まだ違和感の有る制服に着替えて、声に出し一人宣言をする。 一人…だった筈… 「何言ってんの?お前…」 若干引き気味な声がして、見ると弟が私の部屋にいつの間にか入って来ていた。 哀れむ視線を私に送る。 ちょっ… 「おまっ何勝手に入って来てんだよっ!?」 「兄貴最近独り言多過ぎて五月蝿ぇ」 「えっ…」 「まだ熱でも有るんじゃね? イケメン云々とか、気持ち悪ぃ事ほざいてっし… 学校よりも一回病院行ってくれば?」 呆れた様にそんな事を言う弟の優(マサル)もまた、私のとはデザインの違う真新しい学生服に身を包んでいる。 本来であれば、弟は26歳の会社員。 年下の可愛い彼女が居て、友達も多く仕事も順調な、私より遥かにリア充ライフを送っていたのに… 姉ちゃんが浅はかな返事をしたばっかりに… あんたまで巻き込んで、例え2年間でも、一緒に人生のやり直しをさせる事になってゴメンね… こうなってしまってから、弟の顔を見る度にそう思う。 自分の意思とは関係無く、26歳から突然15歳になってしまった弟は今、近所の公立高校に新入生として通っている。勿論共学の。 はぁ… 変わるのは、なんで私だけじゃ駄目だったんだ…?メタボ… 『カスの設定上必要なんだ』 や…要らんだろ? なんなら私、弟の弟で良かったよ? こうなっちゃったらもう、2年間は仕方ないと思わざるを得ないのかも知れないけど… 朝っぱらから弟と顔を合わせて気が滅入った。 つい、無い物ねだりしちゃったけど… 2回目の学校に足を踏み入れて正気に戻る。 凹んでる場合じゃない。 今日からは、昨日ウッカリ作り掛けてしまったハーレム状態を奪回させなきゃ! 自分の教室手前で一度深呼吸して、再度気合いを入れ直し 教室に入って真っ先に目に付いたのは 丸山、千葉、黒木の他、何故か会長、副会長、風紀委員長が揃い踏み 主の居ない机を囲んで、イケメン6人が気難しい表情を見せている そんな光景だった。 て言うか、そこ私の席… 「あ、来た!まこちゃん!」 直ぐに私に気付いて会長…雄一先輩が此方に声を掛ける。
/810ページ

最初のコメントを投稿しよう!