“僕は友達が欲しい”

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発注掛けて入ってきても直ぐ売れちゃって、全然追い付かないんですよー」 「何故っ!? 新刊は!?昨日新刊出てますよねっ!!?」 「あ、出てます。 けど、それも昨日の内に完売して…」 「何故ーっ!!!!!」 驚き過ぎて慌てて大橋に詰め寄って、 聞いた話でリアルにその場へ崩れ落ちる。 もう正に“orz”状態。 コミック売り場のド真ん中で。 そのくらいショックだった。 だって…すげー楽しみにしてた続き物の新刊や、好きな作家さんの新刊が色々、昨日纏めて発売されるの分かってて…! 男になっちゃう前から、マジで全裸待機する勢いで待ってたのに…っ!!!!!! …こうなれば…っ 「注文…してっていーっスか…」 「あ、どーぞ。そしたらカウンターの方で…」 もう“名門男子校生”という一般的には華やかな肩書きを汚してでも、腐男子に成り下がってコミックを手に入れなきゃ気が済まない。 大橋に案内されてカウンターに行ったところで、見慣れた注文用紙に名前と携帯番号を書き込んだ。 注文したのは全部で6冊。 大橋がそんな俺をやたらニコニコしながら見ていたのは、奴も腐女子なので良からぬ妄想をしてくれたからだろう。 因みに漫画は、元店員として思った通り、全部揃うまで一週間から10日かかると言われたので、揃ったら連絡を貰うって事にして、控えを持ちカウンターから離れた 途端 「また成賢の子だねー」 「ね、なんだろう?マジで、やっぱ男子校でBLブーム?」 「かな?マジ滾るwww」 と、大橋と聞き慣れた他の同僚の声が会話するのが聞こえた。 …まさか… 「なぁ…黒木… 今もしかして…うちの学校BL流行ってる…?」 「あ~、流行ってる流行ってる。 久保っちが腐男子でBL漫画読むからさ、「真様の趣味を共有したい!」ってあれだよ、確か。 こんな売り切れる程だとは思わなかったけど…」 「……や…」 やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!! なんだチクショーっ!!!!! そんなの腐女子な書店員からしたら餌だぞっ!!!? 餌でしかねぇっ!!!!! クソッ 美味しいじゃねぇかぁっ!!!!! 「あ、久保っちテスト終わったし、帰ったらさー、BL漫画お勧めの貸して」 って、にこやかに言った黒木を見て、 脳内腐った同僚達と、久々に飲んで語り明かしたいと 心から思った。
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