“僕は友達が欲しい”

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相変わらずな貼り紙と棚を写メまで撮っていた。 で、それが済んで漸くカウンターに向かう。 行ってみたら大橋が丁度カウンターに居て、俺を見て「あっ!」て顔をした。 なので大橋に会計をしてもらうつもりで、そのレジ前に行った。 「スミマセン、久保で注文してるんですが…」 「はーい、ご来店有り難うございます」 客注控えを出す前に、言葉だけでニコニコしながら大橋が客注品の並ぶカウンター内の棚へ向かい、 6冊のBLコミックを持って直ぐに戻って来た。 「お品物此方でお間違いないですか?」 「はい」 「あのさー、今成賢でBL流行ってるんですか?」 レジにバーコードを読み込ませながら、大橋がなんとも興味有り気に問い掛けてきた。 そりゃ当然興味有るだろーなー、腐女子として。 「あー、そーみたいなんですよね~…」 「すげーっスよ!空前の大ブームなんですって! 彼のお陰で!」 「え、久保くんの?」 …おっと…?菊音ちゃん…? 「です! この子成賢でファンクラブが有る超人気者なんですけど、腐男子な事で有名で! まこっちゃんファンの人達が、まこっちゃんの趣味を共有すべく、まこっちゃんが大好きなBL漫画を買い漁っておるのですっ!」 「なんwwですwwかwwwwそれはっwwww」 菊音ちゃんの自慢気な台詞に、大橋が堪えきれず大笑い。 そりゃ笑うわー 俺だって、客にこんな事言われたら笑うわー …だな。 笑うわ。 当然だ。 腐女子として、こんな愉快な美味しいネタは無い。 このネタで… 「大橋さん、仕事終わんの何時っスか?良かったら腐ったネタいっぱい有るんで、後でお茶しません?」 「え、マジですか? するする!5時半には今日は上がれるからー…」 「じゃあ、駅ビルの改札側出入り口で待ってますんで~」 「おっけww」 「あ!まこっちゃん!私も参加表明いたす!」 ですよねw そうなるわなww そんな約束に漕ぎ着けて、本の精算をして書店を出た。 あれだよ…俺… 友達が欲しいんですっ!! 性別も年齢も問わず、兎に角“友達”が欲しいんだ! それが腐った話が出来る相手なら願っても無い事! 菊音ちゃんは勿論、大橋とも絶対腐った話出来るし!
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