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「それが今月頭に仕事で来日して会ったばっか…
あ!そー言えば、俺もこないだ多々良に「良くないモノに好かれてる」とか言われたんだった!
で、なんか御守りだとか言って紙切れ貰って、「財布の中入れて持ち歩いて」って…」
そう言いながら、千里はポケットから徐に財布を取り出し、中から四つ折りにされた小さな紙切れを出した。
「へー…それ…」
俺が無意識に紙切れに手を伸ばし掛けた瞬間
『触っちゃ駄目だっ!!!!!!』
「あーこれは駄目だよ、見せるだけ」
メタボが聞いた事もない大声で叫び
千里が紙切れを俺から遠ざけた。
ちょ…
今、メタボの声にビビったし…
「え?俺が触ったら駄目なんだ?」
「そう。誰にも触れさせない様にって言われてる。
なんか、魔法陣みてぇな不思議な図形が書いてあるんだよなー」
と言った千里の手元に持たれたまま、紙切れの中に書かれた物が確認出来た。
「なんか本格的だな~」
「ま、厄除けって感じ?
多々良がくれたのは特によく効きそうだからさ」
「へー、すげーんだ、多々良さん…」
だってよ?メタボ。
もしかして、これが千里にフェロモンが効かない原因…
『間違い無く。
…そうか…多々良っていうのは、エクソシストみたいな奴だ。
この一見ただの紙切れ一枚でも、物凄く強い念が込められている…のに、今出されるまで全く気付けなかった…
これは非常に危険。カスが下手に触ればフェロモンが浄化されてしまう…』
えっww何言い出すwwwお前マジ脳味噌厨過ぎwwwww
つか、フェロモン浄化してくれるだけなら、寧ろ触りたいwwww
『何言ってるの?
僕とカスは一心同体。
フェロモンが浄化されるって事はつまり、僕が消えるって事だ。
そうなるとカスは二度と女に戻る事は出来ない』
…えっ…
そんな大事なのかよ…?
『そうだよ。
…嫌な奴が身近に居たな…
絶対に多々良って奴に接触してはいけない』
そう話すメタボの声がガチで…
メタボはもしかしたら霊的なモノなんじゃないか?
と思った事よりも
“女に戻れなくても、まぁいっか”
と
一瞬思えてしまった、自分が怖かった
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