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なので、謝らなきゃいけない事も含め、若干緊張しながら保健室の扉を開ける。
扉から真っ直ぐ視線の先に有った机の椅子に座っていた、白衣姿の20代半ば程の素敵眼鏡男子が、俺に気付いて直ぐに此方に視線を向けた。
「あれ?久保くん…
珍しい。どうかしましたか?」
そう声を掛けて来た、二階堂先生という名の養護教諭は、二次元の王道とも言える端正なルックスをしている。
実は彼を見たのはさっきの非常事態時が初めてだった訳だけど…
こりゃ、ホモな男子生徒に絶対モテるよなー!
って感じ。
そんな説明は程々に、本題へ移ろう。
「いえ…どうかしたって訳じゃないんですが…
さっきはお手を煩わせてスミマセンでした!
…って、謝りたくて…」
「ああ…なんだ…
別に気にしなくていいよ。それが私の仕事だから」
俺の台詞に先生が緩く笑って返す。
大人だなぁぁぁぁっ!!
しかも一人称“私”かよっこの人!例え立て前でもナイス!!
なんて、一人で内心悶えていたら
「あ、せっかくだから久保くん、こっち来て少しお話しして行きませんか?」
と、先生が机脇の患者用の丸椅子を引いてそう言った。
おお?なかなか素敵展開…
当然断る訳が無く、先生に促されるまま俺はその椅子に腰を下ろした。
先生がなんとも興味有り気に俺を眺める。
「…あの…?」
「あ、ごめん。いきなり凝視し過ぎたね。
…しかし、“成る程”って感じだね、君は」
「成る程?」
「私は会うのは初めてだけど、久保くんの話は、他の生徒達や先生方からよく聞くんだ。君は有名人だからね」
「…話って言うのは、どんな?」
「大概久保くんが「可愛過ぎる」とか、「神々し過ぎて直視出来ない」とか」
「ゎー…」
ですよねー…
問い掛けたクセに大体見当付きましたよー…
千里から聞いてたしなぁー…
「神々しいっていうのは比喩だろうけど…
確かに可愛いのは分かったよ。
それにしても、不思議だな…」
「えっ、何がです!?」
ちょ…都合悪い“不思議”じゃねぇよな?
「生徒達から“可愛い”って言われてる生徒は、他にも何人も居るけど、久保くんは周りへの影響力が桁違い。
実際、今日の鼻血事件の他にも、度々久保くんに鼻血出して保健室に来る生徒が沢山居るんだよね。
なのに、彼等は別に久保くんに対して恋愛感情が有る訳じゃないんだ。
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