0人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあそこで待ってろ。俺一人で行く」
「わかりましたよぉ…」
渋々といった様子で返事をしてこちらへ歩いて来る。
「ところで…これ、開けたい?」
「嫌ですよ!絶対!」
即答された。俺だってこんな不気味な扉開けたくないよ。
「じゃあ…開けるぞ…」
チラッと後ろを見るといつの間にか距離を取っている。
ご丁寧に手を振りながら「頑張ってくださーい!」と応援まで添えて。奴め。
なんだかもう早く帰りたくなったので、腹をくくって勢いよく扉を開ける。
―――その瞬間。
耳にシュンという甲高い音が届くのに少し遅れて、頬に突き抜けるような風を感じた。
最初のコメントを投稿しよう!