一章

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勢いに気圧されて尻餅をついてしまったが、即座に振り返る。 もう遅かった。 「しまった…!逃げられた!」 「ちょっ、大丈夫ですか!」 「ああ、何とも無い。それより、アイツはどっちに?」 「…すみません。この路地を真っ直ぐ行くとこまでは目で追えたんですが…」 しゅんと落ち込んでしまって答える。そんなにうまくはいかないだろう。 「そうか。突然のことだししょうがない。取り敢えず帰るか」 「はい…」 尻についた汚れを落としながら立ち上がる。 歩き出しながら頬を袖で拭うと、袖には朱い模様が付いていた。
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