不幸の手紙

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不幸の手紙

「あーぁ、超つまんねぇ」 そよ風が髪をなでる。 雲一つない空に吐きかける言葉には溜め息が混じっていた。 風で崩れた髪型を片手で直しながら、もう片方の手を空に向ける。 「空から超美少女が降ってきたら面白いだろいなぁ」 俺は呟いた。 「なぁに、授業抜け出してアホなこと言ってんのよマオ!!」 不意に後ろから聞き慣れた声がした。 顔だけを声の方に向けるとそこには、同じクラスの笹川伊織がいた。 伊織とは中学の時からの付き合いで、昔は2人で悪さをしては先生とか大人たちによく叱られていたものだった。 でも、伊織は高校に入ってからと言うもの俺との距離を取るようになって今では全く話しをしなくなっていた。 「ヨォ、久しぶりに授業抜けたんじゃないか?」 「何バカなこと言ってんのよ、アンタを呼んでくるように先生に頼まれただけよ……まぁ、もう少しだけここにいてもいいかな」 そう言うと伊織は壁に寄りかかった。 俺は再び空を見上げ、校庭に鳴り響くチャイムの音を聞きながら頭の後ろで手を組んだ。 変わっていく、周りの人間も伊織も。 「次はちゃんと授業出なさいよ、アンタ成績だけはいいんだから、出席日数足りなくて留年したくなかったらだけど」 「ご忠告どうも伊織ちゃん」 「ちゃん付けは止めろぉ!!」 バンッ!! 勢いよくドアを閉めた伊織は、階段を降りていった。 寝転んでまたそして空に呟く、口癖のように… 「あーぁ、つまんねぇ超つまんねぇ…えっ!?」 それは突然空からやってきたのだった… 「何だコレ?手紙!?」
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