2 死神の死

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 二人が外に出るとすぐに剣と剣がぶつかる音が聞こえてきた。   打ち合うこと十数合、最後に剣が肉を斬る音がして静かになった。 「意外とてこずったな。あの野郎結構いい腕してたじゃねぇか」 「いや、結構なんてもんじゃねぇぞ。ゴーサラの死神と十数合も打ち合ったんだ。相当な凄腕だぜ」   兄弟は怯える旅人達を尻目にそんな会話をしている。  だが肝心の死神が一向に戻ってこない。  待つこと数分、痺れを切らした赤い蜘蛛が立ち上がった。 「よせ。死神の旦那の言葉は絶対だ。戻ってくるまで出るんじゃねぇ」  青い蜘蛛が止める。  止められた赤蜘蛛は仕方なく再び腰掛けた。  更に待つこと数分。  先刻引き留めた青蜘蛛のほうが立ち上がった。 「クソッ、一体どうなってやがんだよ?」  今度は止める者はいない。  兄弟は恐る恐る扉を開けた。 「こ、こいつは……」  二人揃って絶句する。  死神と呼ばれた男が扉に頭を向ける形で俯せに倒れていた。  背中からばっさり一太刀に斬られている。  一対一の斬り合いで不意打ちでもないのに背中から一太刀に斬る。しかも相手は死神と恐れられるゴーサラでも屈指の使い手である。普通なら考えられない。 「有り得ねぇ……あの野郎、一体どんな魔法を使ったんだよ?」  赤蜘蛛が呆然と呟く。 「魔法……魔法か……」  青蜘蛛は蒼白な顔で赤蜘蛛の言葉を反芻した。
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