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二人が外に出るとすぐに剣と剣がぶつかる音が聞こえてきた。
打ち合うこと十数合、最後に剣が肉を斬る音がして静かになった。
「意外とてこずったな。あの野郎結構いい腕してたじゃねぇか」
「いや、結構なんてもんじゃねぇぞ。ゴーサラの死神と十数合も打ち合ったんだ。相当な凄腕だぜ」
兄弟は怯える旅人達を尻目にそんな会話をしている。
だが肝心の死神が一向に戻ってこない。
待つこと数分、痺れを切らした赤い蜘蛛が立ち上がった。
「よせ。死神の旦那の言葉は絶対だ。戻ってくるまで出るんじゃねぇ」
青い蜘蛛が止める。
止められた赤蜘蛛は仕方なく再び腰掛けた。
更に待つこと数分。
先刻引き留めた青蜘蛛のほうが立ち上がった。
「クソッ、一体どうなってやがんだよ?」
今度は止める者はいない。
兄弟は恐る恐る扉を開けた。
「こ、こいつは……」
二人揃って絶句する。
死神と呼ばれた男が扉に頭を向ける形で俯せに倒れていた。
背中からばっさり一太刀に斬られている。
一対一の斬り合いで不意打ちでもないのに背中から一太刀に斬る。しかも相手は死神と恐れられるゴーサラでも屈指の使い手である。普通なら考えられない。
「有り得ねぇ……あの野郎、一体どんな魔法を使ったんだよ?」
赤蜘蛛が呆然と呟く。
「魔法……魔法か……」
青蜘蛛は蒼白な顔で赤蜘蛛の言葉を反芻した。
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