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テーブルの上に合計四十枚の金貨が積まれた。
安酒場にしては大勝負と言っても良い。
「まあ可哀想だからこの辺でコールしてやるか」
二人同時に持っていたカードを表にする。
蜘蛛の男のカードを見て、赤かったモヒカンの顔が青ざめる。
「俺はおまえみたいな気前の良い奴が大好きだぜ。親友にしてぇくれえさ」
蜘蛛の男がニヤニヤ笑いながらテーブルの上の金貨をまとめてゴッソリ引き寄せる。
「てめぇ……」
モヒカンの握りしめた両拳がブルブルと震えている。
「あ、なんだ? なんか文句あんのか?」
蜘蛛の男の方は相変わらずニヤニヤ笑いを止めない。
「ルイス、やめとけよ。イカサマだって証拠はないんだ」
勝負に降りていた男が心配そうな顔でモヒカンをなだめる。
立ち上がりかけていたモヒカンがなんとか怒りを収めて椅子に座り直した時、入り口のドアが勢いよく開けられた。
「おい、いつまで遊んでやがんだ。早くしねぇとフェルマット行きの馬車が出ちまう。急げ」
入ってきた男はそう言うと蜘蛛の男に詰め寄った。良く見てみれば、こちらの男の額にも蜘蛛が這っている。カード賭博をやっている男の赤い蜘蛛とは対照的に、鮮やかな青い蜘蛛であった。
「ああ、調度良いタイミングだ。そろそろ行こうと思ってたとこさ」
赤い蜘蛛の男が金貨を懐に入れて立ち上がる。
「ふざけんなよコラ?」
モヒカンの顔が凄い形相になっている。
「おい、みんな聞いてくれ。この兄さんがよ、勝ち逃げしようって言ってるんだが、どうしたらいいかね?」
モヒカンがそう言って立ち上がると、他のテーブルで飲んでいた男達も一斉に立ち上がった。
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