プロローグ

2/3
前へ
/16ページ
次へ
白い部屋。 ベッドには横たわる女性。 そのまわりで泣いている人々。 その女性は息をしていなかった。 「ねぇ、お父さん、お母さんどうしちゃったの?息をしていないよ。 ねぇ、おとうさんっ」 男性は少年を引き寄せて言った。 「お母さんはな、死んでしまったんだ。 もう、この世にはいないんだよ。」 そう言うと男性は少年を抱きしめて泣いた。 少年は《死》というものがよく分からなかったが、悲しいといううことは分かった。 少年は泣いた。 少年が三歳になった桜舞う季節のこと。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加