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天使が舞い降りた。
別に俺が見えない一撃必殺(仮)を受けて天界に旅立ち幸せな生活が永久に続きました、という話ではなく、机を挟んで対面している女の子がマジで天使だったからである。
「……なにジロジロ見ているのよ」
「いっ……いや、別に……俺は」
座っているので肩幅より下は見ることが出来ないが、星屑の如くきらめくゆるいウェーブは気性の荒らさを表しながらもさらさら流れる青髪ツインテールは、夢の世界から目覚めたのではないか、と疑う程鮮やかに染色されていた。
つい、肩に触れては離れる青髪を目で追ってしまうのは胸のトキメキを抑えられていないことを生物学的に証明。
軽く左右に分けられた前髪は清々しく、かぶさっている細い眉はきめ細やかに整っており、指でなぞったらさぞかし心地よいのだろうと想像してしまう。
はぁ……はぁ……ツインテやべー!! 最高だぜぇー!!
…………ごほん、失敬。
少しつり目だが第一印象ほど怖く感じさせない大きな瞳は俺を睨めつけるが、内心悪い気はしない、むしろ快感だ。
「ふんっ! はっきりしない男ね」
「はっきりしないって……てかお前後輩だろ?」
白を基調としたピンクの線で区分けされたセーラー服の襟に掛かるリボンの色は赤。
1年は赤のリボンと指定されているため、リボンを見れば学年がわかるというわけだ。
ちなみに2年は青。3年は緑である。
「はぁ~? そんなのかんけーないしー」
「いやいやいやいや」
「ふんっ。それに留海香のぱ……ぱんつ見たあんたなんて産廃よ、さ・ん・は・い! なんで産廃に敬称つけないといけないの?」
ドヤ顔で言われた。
「そっ……それはお前が……あっ……あんなところに……」
ぱんつを置きっぱなしに、と言おうとして口を止める。
また一撃必殺(仮)をくらうのはごめんだ。
「……ちぃ」
そして、舌打ち。
こいつを天使だと過剰評価のしたのが馬鹿みたいだ。
「……それで。なんであんな所に……その……あれを?」
「…………」
口ごもる留海香と申す後輩。
そりゃー乙女が気軽に言える内容じゃないしな。
逆に「留海香、ぱんつ落としちゃったの、てへぺろ」なんて言われたらドン引きだし、妥当な反応だろう。
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