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僕が5月で二十歳を迎えて約1ヶ月後の6月13日。
今日はバイトも予定もなにも無かった。というのも父の死去日なのだ。
毎年と同じように、僕の住む町から電車で2回乗り換えて約1時間半、父の眠るお墓に到着し、お墓参りをしてきた。家には車がないので毎年電車なのだ。
母は仕事柄、まとまって家を空けることが多く、それこそ短ければ1週間、長いと1ヶ月以上帰ってこない。
たまたま長期の仕事が入ってしまい
お墓参りには一緒に行けなかった。
母がこの日に墓参りに行かない年など今回を含め2回しかなかった。
2回とも仕事でだ。
今回も残念がるだろうて思っていたが母は、
「その墓には何ものこってなどいない。彼が残してくれたのはここ、心の中にある。彼はカケガエノナイモのを私たちに教えてくれた。」
などとほざきやがった。
なにそれ無駄にかっこいい。
いつも通りにダンディーである。
もう主人公母でよくね?
なんて会話を電話でしたのがお墓参りから帰宅して、すぐだ。
時刻でいうなら午後9時。
夜ご飯には
買い置きしてあるカップ麺を食べ、
何となく外が満月だったので散歩に出ることにした。目的などなかったが、
昔秘密基地などを勝手につくって遊んでいた
寂れた神社に向かうことにした。
農作を司る神様がいるらしく、
昔は色んな人が御祈りにいったらしいが、
現代、今は畑などがすくなくなってしまい、それこそ神様に頼る人も少なくなってしまったためか、すっかり寂れて、年明けですらあまり人も集まらなくなってしまった。
まあたしかに年明けの
初詣で農作の神様に健康や恋愛を祈るのも変な話しか。
そしてその寂れた神社で、僕は出会った。
綺麗な。奇妙な。
そんな彼女に。
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