6月のアバンチュール

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「ポテトチップスを寄越しなさい」 彼女の一言目だ。 初対面なのだよ? いきなしポテトチップスをカツアゲだよ…。 どんなだよ。 しかしカツアゲ彼女は。 とんでもなく綺麗で奇妙な姿をしていた。 髪は透き通るようなブロンド。体は衣服を一切着ていない。透き通るような白い裸は月明かりを反射している。その裸体からはイヤらしさとは別次元に神秘的な印象をうけつけた。 身長は僕より一回り小さいくらい。 目はぱっちりはしているがつり目。 鼻は綺麗で口元は薄く、 とんでも美人だ。 そして奇妙な。 耳と尻尾。 狐のような形の髪と同じような綺麗なブロンドの耳と尻尾が生えていた。 その綺麗さと、奇妙さに僕が言葉をはっせないでいると、 彼女は 「なぁ、ポテトチップスくれよぉーん」 とか言い出した。 咄嗟に 「すすいません、今ポテトチップス切らしてしまってるんです」 神秘的な美しさについ敬語になってしまった。 年下っぽいのに、 二言目のセリフなんて馬鹿のそれなのに、 目上の人を相手している気分になってしまった。 …って僕のセリフ! なんで僕が常にポテトチップス常備してるみたいになってんだよ!! 持ち歩いたことなんざねぇよ! しかもこれじゃ完全カツアゲされてドモッテルいじめられっ子じゃねぇか!? なんだ、この次は なんや、ほんとかいな?ジャンプしてみぃ。 とか言われちゃいそうじゃん! 「主よ、持ってない証拠でもあるんか?ほれ、証拠にジャンプしてみぃ。ほれほれ」 「ノリ良すぎだろ!!」 なんだこいつ!! やばい奇妙だけど。 ちょっと楽しい
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