第一章

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好きな人に名前を呼ばれるって、結構いいよね。 現に、クラスの女子全員がうっとりしている。 あ、もちろん、美希は別。 むしろあいつは、名前を呼ばれて舌打ちしているくらいだ。 「よーし、ホームルーム終わるぞー。」 宮園先生の呼び掛けを聞き、学級委員が号令をする。 そして、チャイムが鳴り、ほとんどの生徒が教室から出ていく。 私も美希のところに行こう。 席を立ち、美希のところへ向かおうとすると、誰かに肩をつつかれた。 誰かと思い、後ろを振り向くと、そこにいたのは宮園先生だった。 「な、なんですか。」 「んー?あんまり美希と言い合いするなよーって、言いたかっただけ。」 宮園先生が、優しい笑顔で言う。 その顔にうっとりして、思わずニヤけてしまいそうになる。 「別に、いつもの事だから。」 「そんな顔すんなって、襲うぞ。」 「なっ…!?」 お、襲うって…。 「冗談だよ、安心しなさい。」 あ、また。 なんでこの人は…、こんな可愛い笑顔ができるんだろう。
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