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仕方なく起床した俺は、朝の身支度をすませ家を出た。
眠い……まぁ仕方がないさ!勉強を頑張ってたんだもん
俺は少しふらつきながら学校へ向かうのだが、瞼が少しずつ俺の視界を奪っていく
気が付けば電柱スレスレに歩いていた
危ないと思いながらも瞼は容赦なく俺の睡眠欲を刺激する
そんな危険歩行を続ける俺のボヤけた視界になにやら黒い物体が急に姿を表した
「へぶっ!」
いかにも漫画のような声を出した俺だが、実際何に当たったのかはまだ不明なため、万が一でもヤクザの黒塗りの車なら俺は一瞬にして地平線の遥か彼方に逃走するだろう
俺の予想は大方合っていた
黒塗りの車。そして時代遅れのリーゼントをした男が出てきたのだ
ただ、予想外なのは後部座席に髪の長い女の人が誘拐するかのように縄に縛られていたことだ
「おいコラ貴様!おめぇどこに目付けとるんじゃ!」
時代遅れのリーゼント男が怒声をあげるのだが、俺の意識はリーゼントに向いているので逆に笑いを堪えていた
「えっと……正面に2つほど標準装備しておりますが……」
「貴様!ふざけって!」
男が声を出すたびにリーゼントがプルンプルンと跳ねる
俺はとりあえず警察に通報しようと思っているのだが、逃げられては元も子もないので、時間を稼ぐことにする
幸い男は俺が誘拐されているであろう女の人に気がついていないようである
この男は黒いガラスに絶対的な信頼をおいているのだろう。だが、時として自分の思い込みは逆手に取られることがある。
それが今この時である
「え?質問してきたのはあなたでしょ?俺は忠実に答えただけですけど何か?」
こういうタイプの男は知識が変な方向に偏っているので、世間一般のことや、理屈で反論すると力で抑え込もうとする
煽りすぎると殴られる可能性もあるために微妙なバランスで反論する
「あぁもう!お前ウザイ!さっさとどっか行け!」
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