第11章 兆し

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各々が拳を合わせると、凍弥を先頭に3人が言った通りに正面から突っ込んでいった。 翼と由理は建物と建物とをジャンプして移動し、渋谷サンライトの2階の窓へ一気に突進。 ガラスが割れる音と同時に、建物内では何かが激しく壊れる音…。 同時に、割れた窓から水が溢れだし、建物の外でも凍弥の氷が猛威を振るっている。 「あーあ……ゾンビがゴミみたいだね……」 「うわー……このメンバーなら、本当に日本を建て直しちゃいそうですね」 「うん…ここに夕登君の風と朱里ちゃんの爆発の力が加われば、どんなゾンビだってイチコロだよ。 ゾンビが地上からいなくなるのも、時間の問題かな?」 「うん…本当に………。 このままではゼロ計画が失敗して、全てがダメになってしまう……。 要排除ですねぇ……」 「……え?」 笑いながら話していたはずの早紀の声のトーンが、急に怖いぐらい低くなる。 次の瞬間。 視線を凍弥たちから早紀の方へ移した唯の額に、布で巻かれた物体が押し付けられていた。 そして……。 1秒もしない内に、早紀はARMの刻印が掘られた"それ"の引き金を躊躇なく引いた。 直後、ごく僅かな銃声と共に唯の額に穴が開き、まだ中身が入っていた缶の中身と脳みそをぶちまけて唯は倒れた。 放たれた金の銃弾は、唯を確実に亡き者にしていた…。 死んだ唯が最期に見たのは…。 不気味な笑みを浮かべた早紀の顔だった…。 「まず1人……。 桐崎夕登にばれそうになった時と、香澄鏡花がエージェントの事を話し始めた時はヒヤヒヤしましたが……。 みーんなお人よしのバカで助かったわー…。 さーて……次はどんな手で行きますかねぇ……」 早紀はすぐに金色の薬莢を拾って遠くに投げ、布で巻かれたアルムガンを懐にしまうと、残った5人の姿を見ながら不気味に呟いた。
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