第1章 幕開け

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「…異論は無いな…。 じゃあ、他に何か報告はあるか?」 「あ………そういえば! ボクから一つ、いい知らせがあるよ!」 これからの事が決まったところで、唯は嬉しそうに口を開いた。 「新たに生存者を2名を加えました。 1人は……何と、ボクたちと同じ能力者だよ!」 「「何っ!?」」 一斉に立ち上がり、唯に視線が集まる。 「まぁまぁ…みんな落ち着いて。 力を使わせてみたところ、能力は『風』と断定できるね」 「唯っ!それは本当に本当か!?」 「本当に本当です!嘘言ったってしょうがないでしょ! 一つ問題があるとすれば………」 「何か、問題があるのか?」 「彼、能力に目覚めたのが今日みたいだから、力の使い方が素人…。 少し特訓させる必要があると思う」 「…………いや、十分プラスに傾くだろ。 そいつの名前は?」 唯の話を聞いていた凍弥は、少し考えた後に言った。 「確か……桐崎夕登、って言ってましたね」 「…………夕登?……夕登だって!?」 名前を聞いた途端、凍弥はでかい声で言った。 「あれ……先輩、知り合いですか?」 「幼稚園からの同級生…しかも、ずーとクラス同じだった。 あいつとは、高校の後、進学と就職で進路が別れたんだ…。 忙しい社会人と時間がある大学生だからな。 いつの間にか会わなくなって……大体8年振りってとこだな…」 どこか遠くを見ながら話す凍弥。 その顔は、まるで昔を思い出しているようだった。 「…おっと、話が逸れたな。 とりあえず、夕登をここに呼んでくれるか?」 「うん、分かった。今連れてきますね」 唯は席を立ち、部屋の扉を開けた。 と同時に、唇に何か生暖かいものが当たった。 ―――――――――― 「……?」 夕登は、一瞬何が起こったのか理解できなかった。
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