壱.

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*  「セード、おーさまごっこしよ!」 まだまだ幼い僕、セイド。 同じく生まれたばかりで幼い林檎と同じ部屋で僕は生活している。 リンゴのヒューマプラントで、元があの果実のリンゴだとしても、外見は僕とは何ら変わらない生物の女の子。 「いいけど…何それ?」 「林檎がおーさまになってセードが下僕!」 「下僕……」 まったく、彼女はいったいどこでそんな言葉を覚えたのだろうか。 林檎は自然界で一番初めに生まれたヒューマプラント。 だから自分が一番偉いと思っているんだ。 昨日は偉い人ごっこ、それで今日は王様ごっこか。 明日はどんな名前になって同じゲームをすることになるのか……。 「ほら、林檎様のために頑張って働きなさい!セイド!」 「はいはい、わかったよ林檎様」 「えへへー♪」 ちょっと煽ててやればすぐその気になって嬉しそうにニコッと笑う。 単純だ。
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