壱.

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だけど、この遊びはいつも父であるガイアに止められる。 「こら!セイド!」 結局追いかけっこになって屋敷を駆け回っていたらお父さんに怒鳴られた。 「な、何?お父さん」 僕が急に止まったから、意図も簡単に林檎に捕まってしまった。 「つっかまえた♪ほら!牢に閉じ込めちゃうぞー!」 その林檎を見て父は鬼のような形相をする。 静かに歩み寄り、通り過ぎたかと思えば僕の腹部から林檎の小さな手が離れ、「パンッ」という音が真後ろで響き渡った。 林檎が頬をはたかれたのだ。 父の力は強く、体の軽い林檎はその一撃で吹っ飛んで体を床に打ち付けた。 「いっ……う………うええええん!!」 林檎は寝転がったまま大泣きする。 その姿を見ても、父にはいっさいの罪悪感なんかなかったと思う。 父はさらに続けて、今度は林檎の胸ぐらを掴んで持ち上げた。 「お父さん!!やめて!林檎は悪くないよ!!」 「セイドお前、ヒューマプラント如きに命令されて悔しいとは思わないのか? 時期にこいつらは人間を殺しに旅立つただの兵器だ。 俺も、レイアもお前も、それまでの過程で世話をしてやる立場だ」
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