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―…………て…れ。―
「!!!」
杏里は思わず顔を上げた。
―助けて…助けてくれ……。―
「杏里?」
「あ、いや、何でもないよ。」
杏里は微笑むと、担任が入って来たのを見計らって結菜に席に着くように指示した。
結菜は不服そうにしながらも、仕方なく席に戻る。
「(何だったんだろう…。
今の…苦しそうな助けを求める声は……。)」
ただただ、不意に聞こえてしまった苦しそうな声が頭から離れなかった。
***
時が過ぎ、放課後になる。
杏里は悩みながら街角を歩く。
「(結局…頭から離れなかったな……。)」
顔を上げた時、気が付けば見慣れぬ街角に居た
「う、嘘…迷っちゃった……!?」
驚愕の事態を受け入れられない杏里。
とにかく辺りを見回していると、こじんまりとしたアンティークショップを見付けた。
「アンティークショップ……。
あそこで情報を得なきゃ!」
杏里は迷う事無くアンティークショップに向かった。
「し、失礼します……。」
そっと中に入ると、可愛い小物から大きな年代物まで沢山ある。
形容するならば、アンティークの宝庫だ。
「うわあ…!!!
素敵なアンティークでいっぱい!」
―…………主………?―
「え?
ある、じ?」
パッと杏里が振り返る。
その先には……赤、黄、緑、青の四色の四つ葉のクローバーのネックレスがあった。
中心にはダイアよりも輝く宝石が高価さを窺わせる。
「綺麗…。」
「それは当店の中で最も価値のあるモノですよ。」
不意に聞こえた声に、杏里の心臓が止まりそうになった。
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