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杏里の背後に居たのは青年だった。
「え、あ、あの……。」
「ああ、すみません。
私はこの店の店主ですよ。」
ふっと店主は笑った。
その笑顔に、杏里は安心感に包まれた。
「あの…此処は?」
「此処は導かれた者が訪れるアンティークショップです。
この店の中にある品々に導かれないと来れないのですよ。」
「(物が導く…面白い例え方だなぁ…。)
へ、へぇ……。」
「貴女は、彼らに気に入られたようですね。」
店主は杏里にネックレスを渡した。
四色の光が淡く光ったような気がする。
「!
あ、あの、これは……」
「導かれたのなら、貴女に渡すのが正しいです。
主に持っていてもらいませんと。」
「……………?」
「さあ、もう行きなさい。」
杏里が外を見ると明らかに夜だった。
月明かりが淡く輝いている。
「あっ、いっけなーい!
早く帰らないと、お母さんに怒られちゃうっ。
あ、ありがとうございました!」
杏里がパタパタと慌てながら店内を出る。
店主は杏里を手を振りながら見送り、一言呟いた。
「頑張って下さいね…世界を救う姫君よ。」
***
杏里が店から出ると、外は月明かりと街灯で少しだけ明るかった。
「うわ…今、何時?」
腕時計を見ると、針が狂っていた。
「!!?」
―見付けた、我らが主。―
―お願いや、世界を救ってくれ。―
―もう僕達では、どうしようも出来ないのです。―
―お前が最後の希望なんだ!―
「うえっ!?
何処から声がしてるの…!?」
杏里が見回した時、首に下げていたネックレスが四色に光り輝いた。
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