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ネックレスから、四つの光が飛び出して、人の形を取る。
形と言ってもデフォルトされたキャラのような大きさだ。
「コイツが俺らの主?」
赤髪に紫の瞳を持つモノは、わくわくしながら杏里を見ている。
「え、え、ええっ?」
「パニクり過ぎやで!」
「そうですよ、落ち着きなさいな。」
金髪に橙の瞳を持つモノと、緑の髪に薄茶の瞳を持つモノが杏里を宥める。
しかし杏里にとっては逆効果でしかない。
「え?
な、な、何コレ!!」
「…何コレ、とは失礼ですね。」
水色の髪に青い瞳を持つモノは、呆れながら杏里の目の前を漂う。
「う、うわわ…お化け……!!!」
「俺らはお化けじゃねーよ!
俺達は精霊だ、せ・い・れ・い!!
因みに俺の名前はフレイムって言うんだぜ!」
にぱっとした人懐っこいような笑みが杏里に冷静さを取り戻してくれた。
「オイラはエレキア!
初めましてやな!」
「私はナチュラーと申します。」
「何のんびりと自己紹介しているんですか。」
関西風の精霊エレキアと、まるで乙男のようなナチュラー。
この三人とは違い、クールな精霊が居た。
「貴方の名前は……。」
「………。」
精霊はチラリと杏里を見ると、視線は違う方に向けた。
「な……っ。」
「僕達は封印されていた聖なる者達。
そう安々と世間知らずな娘を世界を救う主と認めません。」
「ま、まさか………。」
「つまり、ですね。
僕が名乗るに値しない人物だと言いたいのです。」
「(な、何ですと――――!!?)」
精霊達との出会いは急過ぎた。
前途多難の物語、これはまだ、ほんの序章である。
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