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そんな風に思いながら、後からやって来た様な嬉しさに微笑んだしぃちゃんを見つめていると、教室に入って来た男の子に名前を呼ばれた。
「さーなちゃん!」
「ん?…」
「………何しに来た、槇瀬」
「千影には用ねぇよ!」
一触即発な雰囲気をしぃちゃんと醸し出す彼、槇瀬秋士君。
中学の入学式があったその日に掴み合いになりかねない程の大喧嘩になり、学年の皆が知る犬猿の仲と言われている二人…。
そんな二人に挟まれているにも関わらず、佐奈は何の動揺も無い。
「…ん?なんだ、その紙袋」
「お前には無縁の物が入っていた…」
「あ゛?……………」
「朝にしぃちゃんが下級生から貰ったカップケーキが入ってたんだよ」
「佐奈っ!こんな奴に教える必要は無い!」
「てめぇ………俺には無縁とはどう言う事だ!」
「そのままの意味だが?理解出来ないのか、この猿がっ!」
「誰が猿だ!」
これが二人の距離…。
本当に嫌いならこんな言い合いにはならない。
時が経つにつれ、お互いの距離を理解し、お互いの存在を受け入れ、お互いに納得したコミュニケーション。
その姿を一番近くで見てきた佐奈だからこそ、微笑みながらみている事が出来る。
しかし…そんなコミュニケーションも始まってしまえば長い…。
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