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「貰った」
下級生たちとの会話を終えたしぃちゃんは、紅い小さな紙袋を手に戻って来た。
「食べる?」
そう言って、中身を開けて今にも口に運ぼうとする。
「お昼にしなよ」
どうやら中身はカップケーキのようだ。
「…それもそうか。コーヒー買いに行くの面倒だ」
そう言う問題ではない。
「朝からお菓子は…」
「…変か?」
「変って言うか…」
「………じゃあ紅茶にしようか…」
どうも佐奈の気持ちは伝わっていない様だ。
とりあえず、しぃちゃんは取り出したカップケーキを紙袋の中に戻して佐奈の机の上に置くと、窓に寄り掛かり話を切り出した。
「そう言えば…」
「何?」
「…卒業式の日にボタンをくれって言われた……」
「………ん?」
それは、昔からある女の子が好きな男の子と行う卒業シーズンの行事ではなかろうか…?
そもそも、この学校の制服はブレザーですが…。
「…さっきの子たち?」
「…そう。これをくれた子」
「…カップケーキあげますから、ボタンをください!みたいな?」
佐奈は机の上にある紙袋を手にし、わざとさっきの下級生を意識してしぃちゃんに差し出して言ってみた。
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