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「受けたんじゃないの?」
「佐奈じゃあるまいし、何でも良いよ~なんて言わないよ」
佐奈だって何でも受けてはいない…はず。
「…………」
自信が無いので、とりあえず抵抗はしないでおこう。
「…それに告白された訳じゃないし………」
右手中指の爪が気になるのか、親指で弄るしぃちゃんの様子を見つめる佐奈。
「告白されれば受けるの?」
「………ん~………いや、どの道断るかな」
「どうして?」
「…思い出にってだけならあげても良いかなって思うけど、私は付き合うとかはまだ考えたくない。期待させるだけ悪いからな」
何となく複雑そうな表情で佐奈の席を離れ、教室の出入口に向かうしぃちゃん。
「どこ行くの?」
「…これ、返しに行くついでに断ってくる」
律儀と言うか、冷酷と言うか…。
わざわざ断るのにお菓子まで返す事は無いだろうに。
きっと彼女にとって、それとこれとは別問題の筈だ…。
先を見すぎて、後が見えていない…そんな感じだろうか。
だから佐奈の予想では、今日の昼休みのしぃちゃんの机にはきっとあの紙袋がある筈なのだ。
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