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家には無事入ることができた。
ただ、俺の予想とは違った光景がそこにはあった。
まず、薄汚れた感じこそないが、元のようにボサボサになったアム。
かろうじて見える口元は弧を描いている。
あの儀式は成功したのだろう。
それから、まだ昼前だがローグは俺たちより先に帰っていた。
満身創痍でルクスが現在治療中。
この短期間で何があった。
といっても、治安の悪そうな方に進んでいるのは見たしそう不思議ではないか。
むしろよく帰ってきたな。
治療の手伝いをするというか俺が魔法で治してしまうという選択肢も浮かんだが、見た所緊急ではないし、手の内を晒したくないからやめておいた。
「……これで半日ほどすれば粗方治るだろう」
「半日?」
誰がみてもそんな短時間で治る怪我ではない。
テキパキと片付けを始めたルクスにローグが片眉をあげて怪訝そうに言った。
「魔女の薬だからな」
目を合わせることもせず、平然と言ってのけるルクス。
それに食いついたのはテオドールだった。
「魔女の薬って、すっごく高価で貴重なんだよ!
どうしてそんなもの持ってるの?」
「……ツテがあるからな」
「ツテ?どうしてそんなもの持ってるの?もしかして魔女の知り合いがいるの?そもそも魔女っているの?」
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