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「物に当たったら駄目だといつも言っているじゃないか」
そう言って、それとなく男を抑えながら現れたのは、金髪碧眼の黄色い声をあびてそうな所謂イケメン。いけすかない。
そして、2人が並ぶとわかるのだが、顔がそっくりだった。
違うのは目つきくらいか。その目つきでだいぶ印象が変わっているが。
そして、この2人が並んだことで思い出した。
こいつら、血の繋がった俺の兄だ。ほとんど話したことないし、会ったのが10年近く前だったから忘れていた。
むしろ、よく思い出せたな、俺。流石は今世の記憶力。
確か名前は……
名前は覚えていなかった。流石に1、2回聞いただけの名前を覚えられはしなかったようだ。
「久しぶりだね?フェッセル。イーサンがごめん。……僕たちのこと、覚えてるかな?」
イーサンというらしい黒銀の髪の方を羽交い絞めにしながら、イケメンはにっこりと笑みを作った。
……まあ、外面は良いのだろう。そういう目が笑ってない笑顔ってのは前世でさんざん見てるから騙されないが。
「まあな。だが、そっちが俺のことを覚えているのには驚いたぞ」
こういう輩に無愛想に接するとかなり痛い目に合うのだ。うっすらと笑みまで浮かべてやると、一瞬唇をかんだのが確かにみえた。
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