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「…………なんだ?さっきまで寝ていたくせに」
「あんな派手な音したら普通は起きる」
「あれは俺のせいじゃない」
「…………あんた、貴族?」
「違う。俺の親……家族はシエラとルクスだ」
つい親と言ってしまったが、見た目だけ言えばもう親子ほどの差はない。
それほどの年月が経ったのだ。そのうち追い越してしまうことを考えるとたまに侘しくなる。
「そう。それならいいけど」
思いを馳せる間も無く、至極残念そうにアムがそう言った。
こいつは未だに本気で俺の座を狙っている。俺が言うのもなんだが、シエラとルクスにそこまで執着する理由はなんなんだろうか。
守護霊的な存在だったらしい蛇の精霊との契約で、魂が肉体から離れていなくてもその蛇だけはみえるし会話もできるという。
あの日、覗き見した限りでは自分を家族にしろという言い分はこれで無しになったものだと思っていたのだが。
あれからアムは少し変わった。友好的にではないが話しかけてくることもあるし、髪で目元まで覆われているために怪しさは抜けないが、多少身綺麗になった。
そして1番変わったことと言えば、適正がなかったのに魔法が使えるようになったことだろう。
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