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「えっと、こちらこそよろしくね。……それじゃあ、買ったものばかりで申し訳ないけれど、沢山あるから好きなだけ食べて下さい」
シエラはぎこちなく笑うと、率先して席に座る。
そして全員が座ったのを確認すると、手を合わせ。
そして小さな声で、日本語でいただきますと唱えて食べ始めた。
その隣に座ったルクスも、手を組んで何事かを言ってから食べ始める。
俺も、シエラと同じように、いただきますと言ってから食べ始めた。
……前世では、あまり言ってなかったけど、シエラが毎回言ってるから俺も言うようになった。
この世界の人間として生を受けてからこれが習慣化するってのは皮肉だよな。
他の3人はと言えば、ガツガツと一心不乱に食べ進めていた。
どんだけ腹減ってたんだ、と言いたい所だが、俺も人の事は言えない。
寮の食事は正直美味くないし貧相だから。
肉の塊を食いちぎり、飯をかきこむ。
……うん、この濃い味付けがたまらない。
無言で食べ進め、机の上のものがあらかた片付いたところで、アムが口を開いた。
「それで、こいつとあなたたちはどんな関係なの……ですか」
すると、2人は顔を見合わせ。
「家族?」
「家族、だな」
何てことないようにそう言った。
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