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その割には、俺の様子を伺うように見ていて。
「フェッセルがそんな風に笑ってるの初めて見た!」
「煩い」
勢い良く水を飲み干して誤魔化したが、心が浮き立つのを止めることはできなかった。
それに水を差したのはアム。
「家族って、おかしいよ。年齢的に親ではないでしょ?顔も全然似てないし」
2人の見た目は初めて会った時から変わってないから年齢はともかく。
血が繋がっているわけじゃないから似ている訳がない。
シエラなんか明らかに人種違うし。
「そうだね。血は繋がってないけど、ずっと一緒に暮らしてたから」
今度は俺の方を見て、紫の瞳を細めて微笑む。
いつかの答えを貰った気がして嬉しかった。
「じゃあ本当の親は?」
根掘り葉掘り。よくもまぁズケズケと聞くものだ。
子どもってそういうものか?
「顔も覚えてないし興味ない」
「生きてるの?」
「生きてるんじゃないか?」
「ふぅん……うちの親も生きてるけど、私のこと嫌ってるよ。
私もあいつらに興味ない。
そいつと同じ条件だから家族にしてくれる?」
アムのとんでもない申し出と共にその日は閉じた。
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