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「それじゃあ、取引といこう。
起きている時でもそいつを見え、話せるようにしてやる。
代わりにお前はその夢渡りの能力を俺たちに貸す。
どうだ?」
「そんなことできるの?」
「できなきゃ言わない」
シエラよりも濃い、アメジストの瞳がひたとアムを見据えていた。
「……わかった。ゆめわたりの能力ってよくわからないけど、オピスと喋れるようになるならやる」
「そうとなったらまず身を清めよう」
間髪入れずにシエラが言い、グイグイとアムを押して出て行く。
シエラについていくかも迷ったが、少し休憩することにした。
能力的に問題なくても中身が俺だから、精神が疲れる。
それにちょうどテオドールが目的地に着いたようだ。
「ここって何の店なんだ?」
「魔具のお店だよ。魔法の補助をしてくれる道具が欲しくて」
「……まだそんな段階じゃないと思うが」
魔法の適性の有無を調べてから数日。
テオドールは一応貴族並み、つまり平民の平均以上はあるということだ。
しかし、補助なんてものは大きな魔法が使えるようになってから必要なもので、ライター程の火を出す練習をしている奴には無用の長物。
この段階で道具に頼り過ぎてしまえば元の能力が下がる。
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