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「勿論、今使うつもりはないけど、使いたい時にいつでも使えるようにって思って」 「そうか」 本人がそれでいいなら何も言わないが。 店内はやたら輝いていた。 そりゃそうだよな。平民が魔具買うなんてことはそうそう無い。 こんな所、貴族向けの店だ。 店員はめちゃくちゃ警戒した目で俺たちを見ていたが、追い出されることはなかった。 「何をお探しで?」 「あの、魔法を補助してくれる道具が欲しいんです」 「それでしたら、あちらのコーナーになります。何かご希望はありますか?」 「え……と、特にないです」 「御自身の魔力に合わせたオーダーメイドも承っておりますが」 と、まあこんな感じの遣り取りが続く。 テオドールの予算がどれ位か知らないが、冷汗をかいているところを見ると想定以上に高かったんだろうな。 俺には必要のないものばかりだったから、店の外で待っていることにした。 家の様子を見てみると、アムはまだ部屋に戻ってきてないようだが、その間にルクスが色々と準備していた。 机をどけてできた広い空間に、白い粉で円をかき、部屋の四隅に何かの植物を飾る。 それから、何か唱えながら円の中に模様を足していく。
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