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目的地には当然のように群がる“醜い大人”。
初めて使うはずの剣を、少年は取り付かれたように切り裂いた。
一人切れば“怒り”が…、一人切れば“憎しみ”が…。
いくら殺っても消えない感情の中、気がつけば目的地。
全身血塗れで中に入ると、少女を買った男が少年の姿にベッドの上で震えていた。
一歩一歩近づくと、男は地を這うようにベッドから逃げる。
構うことなく横たわる例の少女を見たが時既に遅く、人形のように壊れていた。
解っていたが、思わず抱き締めれば…
「 」
少女の微笑みに、少年はボロボロの剣を突き立てた。
血を浴びながら涙を流し、そこで少年は思い出す。
忘れていた“泣く”という感情や、空腹を…。
冷たくなる少女を抱き締め、そのまま前を見つめたのだった。
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