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一人の少年が盗んだパンを持って、人波の中を風の如く駆けていく。
その後ろから太った男達が追いかけるが、少年は嘲笑うように颯爽と立ち去った。
乱れた世に綺麗事など通じない。
生きていくならそれさえも少年には「正義」で、彼は空腹の中で常に思う。
「“神様”なんているのか?」
ただ純粋に生きていたいだけなのに、ただ空腹のない日々を望むだけなのに…。
「なんで僕らは愛してくれないの?」
とあるホラ吹きは町で“平等”と謳う。
嘘だ。
それならいっそうの事、死神にでも頼んで、天国か地獄に連れて行って欲しい。
夜空の下で、孤児達の集落に身をよせながら嘆く日々だった。
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