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深いため息をついてその女子を見る。
サラサラした綺麗な黒髪に、くりっとした大きな瞳。
華奢なわりに出ているとこは出ているようだ。
うーん……Dかな。
なにも言わない俺に焦ったその女子が何か言ってるが、実を言うと俺は暇ではないため総スルー。
ドアに鍵をかけて、女子の横をすり抜ける。が、腕を捕まれた。
俺に触ってんじゃねぇよ。
腕を払ってから女子に流し目をおくると、ソイツはそれだけで顔を真っ赤にした。
「何?」
忌々しげに問えば、慌てた様子でソイツは続けようとした。
「え?あ、あああのっ!九条くん!私はねっ」
『おーい京鵺ぁ!!早く学校いこーぜ!!』
突然聞こえた男の声。
幼なじみの、直人が来たようだ。
「もうそんな時間か…」
バックを肩にかけ直し、泣きそうなその女子に背中ごしにいい放つ。
「俺、非常識な人間って嫌いなんだよね。」
俺の極上の甘い笑みとは対照的な冷めた声色。
直人に駆け寄って、俺らはくだらない話をしながら学校へと急ぐ。
雲1つ無いような晴天と、住み慣れた住宅街を眺めながら、今日もいつも道理の日常が始まるのを感じた。
告白なんか、いままで死ぬほどされたさ。
背後から響くドサッと物が滑り落ちたような音。
うん、いつも道理。
彼女も彼女らと同じように、ショックで寝込んだり泣いたり死んだりするんだよ。
ふふっ…いつも道理!
人間って、なんて面白い生き物なんだろうね!!
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