壱,雪野麗

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僕のことが邪魔で仕方なかったお母さんは、お父さんのいないところで、僕を虐待していた。 僕がいなくなれば、お母さんは、もっとお父さんと一緒にいることができる。 10歳にもなると、そのことがようやくわかってきて、僕は虐待を受け入れていた。 もう、当たり前の事にもなっていた。お父さんがこのお母さんと再婚した日から約10年。 僕は当たり前の事をされていただけ。それに、お父さんがいる時にはやられなかったから、そんなにきついものでもなかった。 しかし。 3年前、お父さんが他界してから、お母さんの虐待はひどいものになっていった。 「あんたがいなければ!」 その言葉。 「あんたさえいなければ!」 その高い声。 「あの人は死ななかった!」 そんなことない、と。 「あの人は永遠に幸せに暮らせたのに!」 わかっているのに。
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